(4)25年かけてもうまくいかなかった経緯
前回はテレワーク導入にあたってぶつかる現実的な問題についてお話ししました。
今回は、次世代の働き方を実現する過程で僕が経験した失敗についてお話しします。
前回記事「(3)しかしそうはいかない現実」
シリーズ一覧「間違いだらけのテレワーク」
「なぜ人は電車に乗ってまで通勤するのか?」
中学生から十年間電車通学を強いられていた僕にとってそれは永遠の課題でした。
僕の学生時代は20世紀の終盤。
Windowsがパソコン業界を席巻し、スパイ映画にAppleのNewtonが使われていた時代です。
携帯端末としてシャープのザウルスが人気で、ハンドヘルドコンピューターというジャンルが存在していた頃です。
そういった持ち運べる端末や、ようやく実用性が出てきたノートパソコンなどを使えば、オフィスに縛られない働き方もできるんじゃないだろうか?
学生時代はそんな研究を続けていました。
論文が叩かれたネット草創期
人がオフィスに縛られる時代はまもなく終わる。
情報端末の進歩によって21世期はどこでも職場になる時代だ!
と学生時代は意気込んで論文も発表しました。
ザウルスをA4サイズにしたような端末でバッテリーが1日持って、キーボードがなくてもペン操作と対話アシスタントで作業を進めてくれる。
今ではすでに現実のものとなった技術の数々を使って働き方を変えていくという内容でした。
今だったら皆さん目の前に見えてる環境です。
iPad一枚あれば再現できちゃいますよね?
でもiPad発売20年前にそんな未来社会の説明をしたとしたら?
やはり世間の理解と眼差しは冷たかったです。
当時はまだ職場にグラフを手書きで書く職業があったぐらいです。
パソコンの入力どころか電源オンにすらできない管理職がゴロゴロいました。
「そんなオッサンにパソコンで稟議回すなんて絶対無理、君は世の中のことを知らなさすぎる。」と総スカンでした。
いつかきっとその時代は来るのにと僕一人だけ信じながら悶々とする日々が続きました。