中小企業でもテレワーク導入への準備とルールそして在宅勤務の割合は?

確かに大阪商工会議所によると大企業のテレワーク導入は54.7%にのぼる一方、中小企業は9.5%にとどまっているとのこと。

やはり中小企業に多様性のある働き方は導入しづらいのでしょうか?

導入しづらい・・・?

詳しくお聞きしていると次のような理由を耳にすることが多いです。

「業務が朝に集中してるから時差出勤なんて不可能」
そもそも在宅勤務にすれば?
工程改善して業務の平準化に取り組んでみては?
「顔見て話さないと打ち合わせが進まない」
これまでの業務をマニュアル化してトレーニング工程を取り入れては?
そもそもテレビ電話でなんともならないんでしょうか?
「ITに弱い社員が多く設備もない」
そんなにコストのかからない設備から取り入れてみては?
そもそもスマホ使えるレベルで充分なのでは?

なんて反論をしたくなりますが、黙ってます。

・・・・・。

お話を総合するとテレワークのハードルが高い。というより
業務改善をしてこなかったツケがまわってきてる。
っていうケースが圧倒的に多いのが実情です。

そして大きな企業さんほど業務改善にコストをかけて取り組んでたので、テレワークの移行も比較的スムーズだったように感じます。

一方で業務マニュアルがなかったり、「この人休んだら工場止まっちゃう」レベルで作業が属人化してたりしやすい中小企業では、テレワーク以前に解決する課題が山積みだと言えます。

テレワーク導入にあたって準備しておくべき3つのこと

そこで「ウチじゃテレワークなんて絶対無理」っていう中小企業さん向けに、導入に必要な3要素についてお伝えしたいと思います。

(1)バイトでもできる作業とエースでないとできない仕事を切り分ける

業務マニュアルもない、属人化が極端。そんな会社に「業務マニュアル」作りましょうって正論ぶつけても事態はなにも変わりません。
それができたら苦労はいりませんよね。
なのでまず実現可能なステップとして作業の切り分けをご提案します。

売り上げの大部分を作ってくれてる中心社員さん。
これ以上負担を大きくできないですよね?
まずは彼らの負担を減らしましょう。

やってる仕事の中でブツを右から左に動かす的な誰でもできるようなステップはありませんか?
マウスを無限にクリックするだけの簡単なお仕事を時給高い人にやらせてませんか?
そういう昨日入ったバイトにでもできそうな部分を可能な限りピックアップします。

誰にでも出来る仕事をピックアップ

「Bの作業は簡単だけどA→B→Cって流れがあるからBだけバイトに任せられないな」とか一切考えなくていいです。
まずは簡単作業をピックアップして把握する。
それができないと効率化は進みません。

(2)業務を把握するには人的コストがかかることを知る

社員さんが増えれば増えるほど誰が何をやってるのか把握できないもの。
テレワークとなると尚更です。

実際当社でも一人の管理職が20人近いスタッフの作業を管理するのにほとんどつきっきりです。
ビジネスチャットのやり取りで済むケースもあれば、音声ツールを繋いで相談する場合もあり、なかなかてんてこまいです。

しかし作業の交通整理役とも言える管理職がいないとテレワークは崩壊しがちです。
そしてこの交通整理役はひとりひとりから作業の情報を聞き出して別の人に伝えていくだけなので決して職位の高い人でないとできない。と言うわけではありません。
逆に最も仕事のできない下っ端に先輩の御用聞きをさせる。そんなイメージの方がうまくいくかも知れません。

スムーズな流れを作るには整理役が必要

この部門も(1)でお話ししたようにバイトでもできる部門です。
しかしなくてはならないポジションなので事前に手配しておきましょう。

(3)iPhoneでもできるように仕事のスタイルを寄せる

もちろんケータイにできるというのは業務の流れのお話です。
大型製造機器にはならないですし、弥生会計のような業務アプリの代わりにはなりません。

しかし問題点の報告は状況をムービー撮って伝えられるし、午後からの訪問先もメッセージアプリで共有することは可能です。

書類も取りに帰らなくてもひとまず写メで送ってもらえば、確認程度なら済んでしまいます。
上司への報告だって印刷しなくても、グループチャットで承認をもらえれば工程はカットできます。

方法はいくらでもありますよね

出来る出来ないではなく、iPhoneだけで通用しない社内業務は改善対象。それぐらいに捉えることができたらテレワークは一気に進みます。

以上ご紹介した準備ができていれば業務改善が進みテレワーク導入の最低限の準備は進みます。

テレワークで必要なルールづくりとは?

実際にテレワークを導入すると意外とルールが多く必要なことがわかります。
業務を効率化させるために必要なルール
各企業さんの状況によって差はあると思いますが、典型的な物としては次の3つが挙げられると思います。

(1)時間で縛っても効率は上がらない

朝ちゃんと作業始めてくれてるのか?夕方ダラダラしてないのか?
経営者はとかく社員の取り組み態度が気になるもの。
その気持ちはわかりますが、必要なのは結果です。

勤務時間に目が行きがちですが…

時間で社員を計るより結果を明確に計測し評価してください。
そして評価基準の計測が意外と手間なのでできれば選任の担当者をご用意ください。

(2)ビデオチャット、音声通話の回数を決める

仕事を止める要素、それが外部からのコミュニケーションです。
ヘルプデスクならいざ知らず、集中力を削ぐような通信は極力減らしましょう。

こうなる前に…

典型的なのは電話です。
社員間の電話の回数を午前中一回、午後から一回のように決めてしまうと業務のスピードは上がり始めます。

(3)コミュニケーターを用意する

さきほどご紹介した情報の交通整理役ですね。
ほとんど御用聞き専門のスタッフを一人置くと業務がうまく回ります。
一人当たりほんの15分ほどのチャットのやり取りでも20人に対応すると5時間かかります。
その間本人も休憩時間必要ですから実際は丸一日潰れます。

この役を課長職のように職位の高い人にやらせてしまうと役付き本来の仕事が進まず重要な業務が停滞してしまいます。
末端社員が専任でできる仕組みづくりが必要です。

以上やってみないと案外わからない問題点と対策ルールでした。

在宅勤務の割合はどこまで増やせる?

政府は新型コロナウイルス対策としてテレワークを推奨していて、7割の社員を自宅勤務にして欲しいと要請されています。

社員7割の自宅勤務要請

「そんなの無理だよ!」
誰だってそう思いますよね。
そもそも国会がテレワークできてないし。

しかし当社では8割の社員がテレワークに切り替えています。
一体どうやって?
アンタの会社はたまたま上手くいってるんだろうよ。
そう言われそうですが、それだけではありません。

テレワーク導入率=業務効率化の進み具合とすると、そもそもの目標設定にコツがあるのです。

例えばテレワークの導入目標が3割だとします。
これだと特に工夫なくても不便を感じつつ乗り越えてしまいます。
つまり業務効率化0%です。

ではテレワークの導入目標が5割だとどうでしょう?
この面を目指してらっしゃる会社さんも多いようですが、だいたい2チーム制にして交互出勤にして「出勤組はいつもより頑張れ」みたいな努力に訴えかける方法が支配的になります。
業務効率化はせいぜい10〜20%と言ったところでしょうか?

ところがテレワーク7割導入をめざすとシナリオは変わります。
3分の2が在宅勤務ですからさすがに昨日までのやり方では何もかも成り立ちません。
根本的にやり方を変えないとなんの業務も進みません。
というわけで社員の7割を在宅に切り替えると業務効率化は飛躍的に進みます。

簡単に言うと目標が半減では努力でなんとかしようとしてしまう、やり方変えるなら7割減です。

業務が効率化すると結果的にテレワークを導入して生産性が向上することになります。

社長さん方は新たなルール対応に戸惑われるかと思いますが、会社が大きく成長できるきっかけにもなります。
是非お取り組みをおすすめします。